「地域名+診療科目」で検索したとき、地図枠に並ぶ3件に入れるかどうかで、来院数は大きく変わります。本ページでは、クリニック・病院の経営者と広報ご担当者に向けて、Googleビジネスプロフィールの設定から順位を決める3要素、口コミの考え方と返信時の注意、順位が上がらないときの診断手順、分院管理、SEOとの連携までを一通り整理しました。
最終更新:2026-07-22
クリニックのMEO対策とは、Googleマップと検索結果の地図枠に自院を上位表示させ、近隣の患者の来院につなげる施策です。
MEO(Map Engine Optimization)は、Googleマップおよび検索結果上部に表示される地図枠(ローカルパック)で、自院を上位に表示させるための施策の総称です。海外では一般に「ローカルSEO」と呼ばれる領域で、土台となるのはGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の登録と運用です。医療機関の場合、クリニックでも病院でも、また歯科・整骨院・調剤薬局のような周辺の医療関連施設でも、基本的な仕組みは共通しています。医療機関のMEO対策とは、要するに「実際にそこで診療していること」を、Googleと患者の双方に正確かつ十分に伝える作業です。
ここで重要なのは、MEOが「見せ方を工夫して順位を上げる技術」ではないという点です。後述するとおりGoogleが公表しているランキング要素は、検索語との関連性、検索者との距離、そしてWeb全体での知られ方の3つに整理されます。いずれも、実態から乖離した情報を入力して有利になる構造にはなっていません。むしろ医療機関のMEO対策で成果を分けるのは、診療時間や休診日といった基本情報が常に正確に保たれているか、診療している内容がもれなく登録されているか、患者が知りたい情報が写真と文章で提供されているかという、地味で継続的な運用の質です。
MEOが医療機関で有効に働く理由は、患者の探し方と医療機関の商圏の性質にあります。第一に、体調が悪いときの受診先探しは、「近くで」「今日行けて」「その症状を診てもらえる」という3条件で絞り込まれます。この3条件は、そのまま地図枠が得意とする情報です。検索者の現在地に近い医療機関を、診療時間と診療内容つきで、地図上に一覧表示する。患者の検討条件と地図枠の表示情報が、構造的にほぼ一致しています。
第二に、来院型の医療機関は商圏が狭いという特性があります。一般的な内科や小児科であれば、患者の多くは徒歩・自転車・車で10分程度の範囲から来院します。全国規模で競合する必要がなく、勝負すべきは半径数キロの中だけです。これは、Web上の情報量で大手メディアと戦わなければならない自然検索と比べて、はるかに現実的な戦い方です。開業間もないクリニックでも、地図枠であれば早い段階で表示されるようになります。
第三に、地図枠が自然検索の結果より上に表示されるという配置の問題があります。「地域名+診療科目」で検索したとき、画面には検索広告、地図枠、そして自然検索の順に情報が並びます。つまり、自院サイトが自然検索で1位を取っていても、その上に他院が3件並んでいる状態が起こり得ます。スマートフォンでは画面が縦に長いため、この差はさらに大きくなります。自然検索の対策を進めるうえでも、まず地図枠の位置を確保しておくことが合理的です。
SEO(自然検索対策)とMEOは、目的も評価の仕組みも異なります。SEOは自院のウェブサイトを対象に、コンテンツの品質や技術的な健全性を高めて検索結果の一覧で上位を目指す施策です。効果が出るまでに3〜6ヶ月以上を要する一方、症状名や治療名のような情報系の検索でも流入を得られ、商圏の外まで届きます。対してMEOは、Googleビジネスプロフィールという外部の管理画面を対象に、情報の正確性と充実度を高める施策です。着手から反映までが早く、1〜3ヶ月程度で地図枠の順位に変化が見え始めますが、効果は実所在地の周辺に強く依存します。
両者は競合するものではなく、担当する検索の種類が違うだけです。「近くの内科」「◯◯駅 皮膚科」のような、いますぐ受診したい人の検索はMEOが担い、「動悸 原因」「白内障手術 費用」のような、まだ受診先を決めていない人の検索はSEOが担います。診療科と診療方針によって、どちらの比重が高いかが変わります。医療機関の自然検索対策についてはクリニック・病院のSEO対策のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。両方の全体像を先に押さえたい方は、MEO対策のサービスページも参考になります。
同じ医療機関でも、単科クリニックと複数診療科を持つ病院では、Googleビジネスプロフィールの設計が変わります。単科クリニックは主カテゴリが明確で、診療内容も絞られるため、設定作業自体は短時間で終わります。その分、周辺の同じ診療科のクリニックと条件がほぼ揃うため、写真の充実度、診療内容の記載の細かさ、診療時間の正確さといった運用面の差が順位に表れやすくなります。
一方、病院のMEOはやや複雑です。複数の診療科を1つのプロフィールで表現する必要があるうえ、外来と入院、救急対応の有無、健診センターや附属施設の扱いなど、判断が必要な論点が増えます。診療科ごとに別プロフィールを作るべきかという相談も多く受けますが、原則として1つの物理的な所在地に対してプロフィールは1つです。同一建物内で独立した受付・診療時間・電話番号を持つ部門については、Googleが定める部門(デパートメント)としての扱いが可能な場合がありますが、判断が必要なため、安易な複数作成は避けてください。重複と判定されると、双方の評価が分散するか、一方が停止される可能性があります。
MEOの作業を始める前に、Googleビジネスプロフィールのオーナー権限が院内にあるかを必ず確認してください。開業時の制作会社や、過去に契約していた広告会社が権限を保持したまま連絡が取れなくなっているケースは珍しくありません。権限がない状態では、診療時間の修正すらできません。管理画面にログインできない場合は、オーナー権限のリクエストを送る手続きから始めます。承認までに時間がかかるため、他の施策より先に着手すべき項目です。
カテゴリ・診療時間・診療内容・写真・属性の5つを、正確さを最優先に埋めることから始めます。
Googleビジネスプロフィールには数多くの入力欄がありますが、すべてを同時に埋める必要はありません。医療機関の場合、優先すべきは「間違っていると患者が困る情報」から順に正確に埋めることです。診療時間が古いまま、電話番号が旧番号のまま、地図のピンが隣のビルを指したまま――こうした状態は、順位以前の問題として来院機会を直接失わせます。以下のチェックリストは、その優先順位に沿って並べています。
| 優先 | 設定項目 | 何を設定するか | 医療機関での注意点 |
|---|---|---|---|
| 最優先 | オーナー確認(認証) | ハガキ・電話・動画等による所有権の確認を完了させる | 未認証だと編集が反映されない。制作会社が権限を持っている場合は先に移管を依頼する |
| 最優先 | ビジネス名 | 看板・保険医療機関の届出に用いている正式名称をそのまま入力 | 「◯◯内科【駅前・土日診療】」のようなキーワードや宣伝文の付加は規約違反。停止リスクがある |
| 最優先 | 住所とマップピン | 建物名・階数まで含めて記載し、地図のピン位置を実際の入口に合わせる | 雑居ビル内の医療機関はピンがずれやすい。ピンは管理画面から手動で微調整できる |
| 最優先 | 電話番号 | 患者が実際にかける代表番号を主番号に設定 | 広告用の転送番号を主番号にすると、他媒体との表記不一致が生じる |
| 高 | カテゴリ(主・追加) | 主カテゴリを1つ、実際に行っている診療を追加カテゴリとして登録 | 主カテゴリの選択が関連性の評価に最も影響する。標榜していない診療科を追加しない |
| 高 | 診療時間 | 曜日ごとの診療時間、昼休みを分けた時間帯、休診日を登録 | 午前・午後で分かれる医療機関は必ず2区分で入力。1本の時間帯にすると昼休みに開いていると誤解される |
| 高 | 特別診療時間 | 年末年始・お盆・祝日・学会休診など、通常と異なる日を事前登録 | 登録しないと祝日に「営業時間が確認されていません」と表示され、来院判断を妨げる |
| 高 | ウェブサイトURL | 自院サイトのトップページ、または該当拠点のページを設定 | 分院がある場合は必ず拠点ページを指定する。全拠点が同じトップページを指すのは避ける |
| 高 | 診療内容(サービス) | 対応している検査・処置・予防接種・健診等を、患者の言葉で1件ずつ登録 | 実施していない診療を登録しない。効果を断定する説明文は医療広告ガイドライン上の懸念がある |
| 中 | 写真 | 外観・入口・受付・待合・診察室・駐車場・スタッフの順に複数枚 | 患者が写り込んだ写真は使用しない。症例写真・術前術後写真は掲載しない |
| 中 | 属性 | バリアフリー、駐車場、オンライン診療、予約制、支払い方法などを設定 | 実態と異なる属性は患者の不信につながる。設備変更時は必ず更新する |
| 中 | ビジネス情報(説明文) | 診療方針、対応している症状、初診時の流れなどを簡潔に記述 | 他院との比較優良表現、最上級表現、体験談は記載しない |
| 中 | 予約・問い合わせ導線 | 予約システムのURL、Web問診のリンクを設定 | リンク切れを定期確認する。予約システム変更時の更新漏れが最も多い |
| 継続 | 最新情報(投稿) | 休診案内、予防接種の開始、診療体制の変更などを随時投稿 | 投稿は広告規制の対象になり得る。効果や優位性を訴求せず、事実の告知にとどめる |
設定項目のなかで、順位への影響がとくに大きいのがカテゴリです。Googleは主カテゴリを1つ、追加カテゴリを複数登録できる仕様になっており、このうち主カテゴリの選択が、どの検索語で表示されるかの土台になります。「内科」を主カテゴリにしたクリニックは内科の検索で、「小児科医」を主カテゴリにしたクリニックは小児科の検索で、それぞれ表示されやすくなります。
実務でよくある失敗は、標榜している診療科をすべて追加カテゴリに詰め込んでしまうことです。カテゴリは多いほど有利になるものではなく、実態と合わない登録は関連性の評価を薄めるだけでなく、期待と異なる患者の来院を招きます。登録すべきは「その診療で来院されて対応できる」ものだけです。内科クリニックが皮膚科を標榜しているとしても、実際に皮膚疾患を診る体制がなければ登録しません。
もう1点、主カテゴリは後から変更できますが、変更直後は表示が不安定になることがあります。開設時にできるだけ正確に選び、頻繁に入れ替えないでください。カテゴリの選択に迷う場合は、商圏内で上位表示されている同じ診療科の医療機関がどのカテゴリを設定しているかを確認すると、選択の妥当性を判断しやすくなります。
医療機関の写真で意識すべきは、見栄えではなく来院前の不安を減らすことです。初めて受診する患者が最も不安に感じるのは、「本当にこの建物で合っているか」「入口はどこか」「待合はどんな雰囲気か」という点です。そのため、撮影の優先順位は、建物の外観(周囲のランドマークが写る引きの構図)、入口とサイン、受付、待合、診察室、駐車場の順になります。院内マップや、エレベーターから医院までの経路がわかる写真も有効です。
撮影上の注意として、患者が写り込んだ写真は使用しないでください。後ろ姿であっても、来院の事実が特定され得る形で公開することは避けるべきです。また、症例写真および術前術後写真は、医療広告ガイドラインで誤認のおそれのある表示として規制される類型に該当し得るため、Googleビジネスプロフィール上でも掲載しません。スタッフの写真を掲載する場合は、本人の同意を取り、退職時に差し替える運用まで決めておきます。
診療内容の登録欄は、手間がかかるわりに後回しにされがちですが、患者が実際に検索する言葉を拾える貴重な場所です。「インフルエンザ予防接種」「睡眠時無呼吸症候群の検査」「特定健診」「往診」のように、診療科名ではなく患者が使う言葉で1件ずつ登録します。登録の際は、効果を断定する説明や他院との比較を書かず、実施している内容と対象を淡々と記述してください。医療広告ガイドラインの禁止類型に触れない書き方については、医療機関のSEO対策のページで表現の基準を詳しく整理しています。
Googleは関連性・距離・視認性の高さという3要素を公表しており、順位はこの組み合わせで決まります。
図1:Googleが公表しているローカル検索の3要素
Googleは、ローカル検索の結果がどのように決まるかについて、公式のヘルプで関連性(Relevance)、距離(Distance)、視認性の高さ(Prominence)の3要素を挙げています。これは推測ではなくGoogle自身が公表している情報であり、MEO対策の設計はここから逆算するのが正攻法です。逆に言えば、この3要素で説明できない「独自のノウハウ」を掲げる手法には慎重であるべきです。
関連性とは、ユーザーが検索した内容に対して、そのビジネスプロフィールがどれだけ合致しているかの度合いです。医療機関に置き換えると、患者が「動悸 内科 ◯◯駅」と検索したときに、そのクリニックのカテゴリ、診療内容、説明文、投稿の内容がその検索とどれだけ噛み合っているかということになります。関連性は、前章のプロフィール整備がそのまま効いてくる領域です。情報を入れていない項目については、Googleは判断材料を持ちません。
実務上のポイントは、患者が使う言葉で登録することです。医療者は「上気道炎」「アレルギー性鼻炎」と表現しますが、患者は「のどの痛み」「花粉症」と検索します。診療内容の登録欄や説明文では、正確性を損なわない範囲で患者側の語彙を含めます。ただし、関連性を高めようとして実施していない診療を書き足すのは逆効果です。期待と異なる来院はクレームやクチコミの低評価につながり、結果として視認性の側を損ないます。
距離は、検索者の現在地(または検索に地名が含まれる場合はその地点)から、医療機関の所在地までの物理的な距離です。3要素のなかで唯一、医療機関側の努力では変えられません。ここを理解しておくことは、MEOの成果を正しく評価するうえで重要です。
たとえば、院長が自宅から「◯◯市 内科」と検索して自院が出てこないと相談を受けることがありますが、自宅が商圏の外にあれば、それは正常な挙動です。地図枠の順位は検索する場所によって変わるため、1地点だけの検索結果で順位を判断してはいけません。実務では、商圏内の複数地点で順位を測る「グリッド計測」という手法を用います。医院を中心に格子状に測定地点を置き、各地点でどの順位に表示されるかを面で把握することで、どの方角から弱いのかが見えてきます。
距離が動かせない以上、商圏の外にいる患者に届けたい場合は、地図枠ではなく自然検索が受け皿になります。専門性の高い治療、自由診療、遠方からの紹介が見込める診療については、医療機関のSEO対策と組み合わせる設計が必要です。この使い分けは本ページの後半でもう一度整理します。
視認性の高さ(Prominence)は、そのビジネスがWeb上でどれだけ知られているかを示す要素です。Googleは、ウェブ上のリンク、記事、ディレクトリへの掲載といった情報を、この評価に用いると説明しています。クチコミの数や評価も、ローカル検索の順位に影響する要素として挙げられています。
医療機関にとって、視認性を高める現実的な手段は次の3つです。第一に、自院ウェブサイトの充実です。診療科目、対応する症状、医師の経歴、設備が記載されたサイトは、その医療機関の実在と診療内容を裏づける情報源になります。第二に、サイテーション(言及)の蓄積です。医療機関検索サイト、自治体の医療情報ページ、地域の医師会サイト、学会の施設一覧など、名称・住所・電話番号が正確に掲載されている場所を増やし、既存の掲載も正しい表記に整えます。第三に、実際の活動の可視化です。学会発表、地域の健診事業への参画、メディア掲載といった活動は、自然な形での言及につながります。
ここで明確にしておきたいのは、視認性を「買う」手法は取らないという方針です。被リンクの購入、クチコミの購入や代行投稿、実体のないディレクトリへの一括登録といった手法は、Googleのポリシーに違反するだけでなく、社会的な信頼を事業基盤とする医療機関にとって、発覚時の損失が極端に大きくなります。視認性は、実際の診療と地域での活動の結果として積み上がるものとして設計してください。
口コミは「依頼して増やすもの」ではなく「集まる状態を整えるもの」です。報酬や割引による誘導は行いません。
クリニックのMEO対策の相談で、最も多く受ける質問がこれです。そして、最も慎重に答えるべき質問でもあります。結論から述べると、MyChoiceは、医療機関においてクチコミの投稿依頼、投稿の代行、報酬・割引・特典と引き換えのレビュー獲得を一切行いません。これは方針として明確に定めており、ご要望をいただいた場合もお引き受けしていません。理由は3つあります。
誘導しないという前提に立つと、打ち手は「投稿してもらう工夫」ではなく、「投稿が自然に集まる状態を作る」ことに移ります。これは遠回りに見えて、医療機関にとっては最も再現性の高い方法です。実務では次の4点に施策を集中させます。
クチコミは、プロフィールが検索結果に表示され、閲覧されて初めて投稿されます。つまり、前章までのプロフィール整備そのものが、クチコミが集まる前提条件です。表示回数が少ない状態でクチコミだけが増えることはありません。カテゴリ・診療内容・写真を整え、地図枠に表示される機会を増やすことが、遠回りに見えて最短です。
低評価の多くは、診療の質そのものではなく「聞いていた話と違った」という点から生じます。待ち時間の目安、予約の要否、初診時に必要な持ち物、駐車場の台数、キャッシュレス対応の可否。これらをプロフィールとサイトに正確に書いておくだけで、来院時の不満は目に見えて減ります。情報整備は、実は評価対策でもあります。
返信は、投稿者本人だけでなく、これから受診を検討している人に向けたメッセージです。指摘に対して誠実に受け止め、院内でどう対応するかを述べている医療機関は、たとえ低評価が混じっていても、閲覧者に安心感を与えます。返信の書き方には医療機関固有の注意点があるため、次章で詳しく扱います。
クチコミは、患者が受付や診察室では言わない本音が現れる場所です。待ち時間、受付の対応、電話のつながりにくさ、説明のわかりにくさ。同じ指摘が複数回現れているテーマは、実際に発生している問題です。月次で内容を分類し、院内ミーティングの議題に上げる運用にすると、評価は結果としてついてきます。
低評価の投稿は、どの医療機関にも起こります。まず押さえておきたいのは、評価が高いほど良いとは限らないという点です。すべてが5点の医療機関は、閲覧者から不自然に見られることがあります。実際に受診先を選ぶ人は、点数そのものよりも、どのような指摘があり、それに医療機関がどう応答しているかを読んでいます。
事実と異なる内容や、Googleのポリシーに違反する内容(無関係な投稿、なりすまし、個人情報の記載、脅迫的な表現など)が投稿された場合は、Googleへ報告して審査を求めることができます。ただし、削除されるかどうかはGoogleの判断であり、医療機関側で決められるものではありません。ポリシー違反に当たらない低評価は、事実と異なると感じても削除されません。その前提で、返信によって事実関係を簡潔に示す対応が現実的です。
返信そのものは違反ではありません。ただし守秘義務・個人情報・体験談の扱いに固有の注意が必要です。
クチコミへの返信は、医療機関にとって推奨される運用です。閲覧者に対して、指摘を受け止めて対応する姿勢を示せますし、事実と異なる記載に対して簡潔に事実を示す機会にもなります。返信という行為自体が医療広告ガイドラインに違反することはありません。問題になるのは、返信の「内容」です。他業種と同じ感覚で書くと、医療機関に固有の3つの論点に触れる可能性があります。
医師には法律上の守秘義務があり、業務上知り得た患者の秘密を正当な理由なく漏らすことは禁じられています。クチコミへの返信は、誰でも読める公開の場に残ります。したがって、投稿者の症状、受けた検査、処方の内容、来院日、担当医との会話の内容に触れることは避けてください。
見落とされやすいのが、投稿者が自ら症状を書いているケースです。「◯◯の相談で伺いました」と本人が書いている場合でも、医療機関側がそれを前提に応答すると、その人が自院の患者であるという事実を医療機関が公に認めたことになります。投稿者本人が公開しているからといって、医療機関側が同じ情報に言及してよいことにはなりません。返信では、来院への謝意と一般的な対応方針を述べるにとどめ、個別の内容については院内でお話を伺う旨を案内する形が安全です。
返信の中で、投稿者を特定し得る情報を書くことも避けてください。「先週の火曜日に◯◯の件でお越しいただいた方ですね」といった記述は、日付と用件から本人が特定される可能性があります。同様に、「担当した◯◯医師から状況を確認しました」という書き方も、投稿者と診療の紐づけを公表することになります。返信は、誰に向けたものであるかを特定しない書き方を基本としてください。
院内で返信を担当するスタッフに対しては、この点をルールとして共有しておく必要があります。善意で丁寧に対応しようとするほど、具体的に書こうとしてしまうためです。返信の下書きを1名が作成し、別の1名が公開前に確認する2段階の運用にすると、こうした記述を防ぎやすくなります。
医療広告ガイドラインでは、患者等の主観に基づく治療内容・効果に関する体験談が禁止類型とされています。ここで注意が必要なのは、クチコミの内容そのものではなく、医療機関側の応答が問題になり得るという点です。投稿者が「治療を受けて症状がすっかり良くなりました」と書いたとして、それは第三者の自発的な投稿です。しかし、医療機関がその返信として「当院の治療で改善される方が多くいらっしゃいます」と書けば、それは医療機関自身による効果の訴求になります。
返信では、効果を断定したり、他院との比較に言及したり、治療の優位性を述べたりしないでください。「ご丁寧なお声をいただきありがとうございます。今後も一人ひとりの状態に合わせた診療を続けてまいります」といった、謝意と診療姿勢にとどめる形が基本です。地味に見えますが、これは閲覧者にとっても十分に伝わる応答です。
返信を院内で回すには、テンプレートを用意しておくのが現実的です。ただし、まったく同じ文面を全件に貼り付けると、閲覧者に定型対応と受け取られ、かえって印象を損ねます。実務では、次のような構造で組み立てます。
低評価への返信は、感情的にならないことが最も重要です。事実と異なる内容であっても、公開の場での反論は閲覧者に良い印象を与えません。反論するのではなく、事実を簡潔に示し、確認の場を院内に移すという姿勢を保ってください。投稿から時間を置き、複数名で内容を確認してから返信する運用にすると、この原則を守りやすくなります。
Googleに投稿されたクチコミを自院サイトに転載したいという相談を受けることがありますが、推奨できません。治療内容や効果に関する記述を含む体験談を医療機関のウェブサイトに掲載することは、医療広告ガイドラインの禁止類型に該当し得ます。加えて、投稿者の著作物を無断で転載する問題も生じます。第三者のプラットフォーム上に自発的な投稿として存在することと、それを医療機関が自院サイトに掲載することは、まったく別の扱いになると理解してください。表現面の基準についてはクリニック・病院のSEO対策のページで整理しています。
計測条件、情報の欠落、重複リスティング、表記の不一致、距離の順に、原因を1つずつ切り分けます。
「MEO対策をしているのに順位が上がらない」という相談は非常に多く、その原因の大半は施策の巧拙ではなく、そもそも別の問題が起きているか、計測の仕方が誤っているかのどちらかです。原因を推測で決めつけず、切り分けの順序を守って確認していくことで、多くの場合は数日以内に原因が特定できます。以下の診断フローは、その確認順序を図にしたものです。
図2:地図枠の順位が上がらないときの診断フロー
最初に確認すべきは、施策ではなく計測です。地図枠の順位は、検索する場所、端末、Googleアカウントのログイン状態、過去の検索履歴によって変わります。院長が自宅から検索した結果と、患者が医院の近くで検索した結果は、そもそも別のものです。また、ブラウザに位置情報の許可を与えているかどうかでも結果が変わります。
実務では、商圏内の複数地点で測るグリッド計測を用いて、面で順位を把握します。医院を中心に格子状の測定地点を置き、各地点で狙っている検索語の順位を測定すると、「北側の住宅地からは3位以内に入っているが、駅の南側では圏外」といった実態が見えてきます。この段階で、実は十分に表示されていたことが判明するケースは少なくありません。順位を1地点の目視で判断している場合は、まず計測方法を見直してください。
計測が正しく行われていて、それでも表示されない場合、次に疑うのは情報の欠落です。とくに、主カテゴリが実態と合っていない、診療内容が1件も登録されていない、写真が数枚しかないという状態は、関連性の判断材料が不足しているため、順位が伸びにくくなります。前章のチェックリストに戻り、埋まっていない項目を洗い出してください。
意外に多いのが、診療時間が「営業時間の確認が必要です」と表示されている状態です。長期間更新されていないプロフィールに対して、Googleが情報の鮮度を確認するために表示するもので、患者からは「開いているかわからない医院」に見えます。診療時間を再保存し、特別診療時間を登録することで解消します。
順位が伸びない原因として見落とされやすいのが、重複したビジネスプロフィールの存在です。医療機関では、次のような経緯で重複が発生します。開業時に業者が代理で作成したプロフィールが残っている。移転前の住所のプロフィールが残っている。院長の個人名で別のプロフィールが登録されている。診療科ごとに別々のプロフィールを作ってしまった。第三者がGoogleマップ上に情報を追加した。
重複が存在すると、クチコミと評価が分散し、どちらのプロフィールも十分に評価されない状態になります。Googleマップで医院名・旧医院名・院長名・住所を検索し、自院に関する登録がいくつ存在するかを確認してください。重複を発見した場合は、Googleに重複の報告を行い、統合または削除の手続きを取ります。この作業は順位への影響が大きく、他の施策より優先すべき場合があります。
NAPとは、Name(名称)、Address(住所)、Phone(電話番号)の頭文字です。この3項目の表記が、Googleビジネスプロフィール、自院サイト、医療機関検索サイト、予約システム、各種ディレクトリで完全に一致していることが、視認性の評価において重要とされています。
医療機関で実際に発生する不一致には、次のようなパターンがあります。「1-2-3」と「一丁目2番3号」の表記揺れ。ビル名や階数の記載有無。「医療法人社団◯◯会 ◯◯クリニック」と「◯◯クリニック」の使い分け。旧電話番号が古い掲載先に残っている。移転前の住所が残っている。1つひとつは些細に見えますが、これらが積み重なると、Googleが同一の医療機関として紐づけにくくなります。まず自院サイトとGoogleビジネスプロフィールの表記を正として定め、そこから各掲載先を順に修正していきます。
ここまでを確認しても順位が動かない場合、残るのは距離の問題です。医院が商圏の端に位置している、駅から離れている、隣接する市区町村との境界付近にあるといった立地条件は、地図枠において不利に働きます。これは施策で覆せる要素ではありません。この場合、地図枠で無理に広域を狙うのではなく、自然検索で症状名や治療名から流入を得る設計に切り替えるほうが合理的です。
それでも解消しない場合は、競合医療機関の視認性が自院を上回っていると考えられます。この段階で初めて、自院サイトの充実、サイテーションの整備、クチコミへの返信運用といった中長期の施策に取り組むことになります。MEOの基礎的な考え方や診断項目については、コラムでも複数の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
拠点ごとに1つのプロフィールを作り、NAP表記を全経路で統一し、重複リスティングを継続的に潰します。
医療法人が分院を展開している場合、あるいは病院が複数の関連施設を持つ場合、MEOの管理は一気に複雑になります。拠点が増えるほど、更新漏れ、表記の揺れ、重複の発生確率が上がるためです。ここでは、複数拠点を持つ医療機関が押さえるべき3つの原則を整理します。
Googleビジネスプロフィールは、実在する所在地ごとに1つ作成します。分院を開設した場合、既存プロフィールの住所を書き換えて使い回すのではなく、新しいプロフィールを作成してください。住所を書き換えると、本院のクチコミと評価が分院に移動し、本院の情報が失われます。これは復旧が難しく、実際に相談を受けることの多い事故です。
逆に、実在しない所在地でプロフィールを作ることもできません。「◯◯駅前出張所」のような実態のない拠点、レンタルオフィスの住所のみの登録、自宅住所での登録は、Googleのガイドライン違反にあたり、確認された場合は削除されます。医療機関の場合、開設届を出している所在地と一致していることが基本です。
同一建物内の部門については判断が必要です。病院内に独立した受付・電話番号・診療時間を持つ健診センターや、別法人が運営する院内薬局などは、条件を満たせば別のプロフィールとして登録できる場合があります。ただし、単に診療科ごとにプロフィールを分けることはできません。判断に迷う場合は、重複と判定されるリスクを考慮し、慎重に検討してください。
複数拠点で最も起こりやすいのが、表記のばらつきです。本院は「医療法人社団◯◯会 ◯◯クリニック」、分院は「◯◯クリニック △△院」、Web予約システムでは「◯◯クリニック(△△)」――このような状態は、拠点数が増えるほど発生しやすくなります。
対策は単純で、拠点ごとのNAP表記を一覧表にまとめ、それを唯一の正とすることです。名称、郵便番号、住所(建物名・階数まで)、電話番号、診療時間を拠点ごとに1行で管理し、新しい掲載先に登録するときは必ずこの一覧からコピーします。担当者が変わっても表記が揺れない仕組みにしておくことが目的です。移転や電話番号変更が発生した際は、この一覧を更新したうえで、掲載先を順に修正していきます。
重複は、一度整理しても再び発生します。第三者がGoogleマップに情報を追加したり、拠点の移転に伴って古い情報が残ったりするためです。四半期に1回程度、全拠点分について、医院名・旧名称・住所でGoogleマップを検索し、意図しない登録が発生していないかを確認する運用を組み込んでください。
拠点数が多い医療法人では、この確認作業と更新作業を手作業で回すのが現実的でなくなります。診療時間の変更や休診案内を全拠点に反映するだけでも、拠点数に比例して工数が増えます。MyChoiceが自社開発しているMEO GEARは、複数拠点の一括投稿・一括更新と、拠点別のダッシュボードを備えており、こうした運用負荷を下げる目的で使われています。
Googleビジネスプロフィール側の整備と並行して、自院サイトにも拠点ごとの独立したページを用意します。1つのページに全拠点の住所をまとめて掲載するのは避けてください。どの拠点についてのページなのかが判別されにくく、どの地域名でも評価されにくくなります。
拠点ページには、その拠点の名称、住所、電話番号、診療時間、休診日、担当医師、アクセス経路(最寄り駅からの徒歩経路、駐車場の有無と台数、バス路線)、そして拠点の外観写真を個別に記載します。そのうえで、各拠点のGoogleビジネスプロフィールのウェブサイト欄に、対応する拠点ページのURLを設定します。プロフィールとサイトの拠点ページが1対1で対応している状態が、複数拠点MEOの完成形です。拠点ページの設計については、医療機関のSEO対策のページで階層構造の考え方を解説しています。
NAPの一致、拠点ページの実在、指名検索の3つの接点で相互に効きます。片方だけでは頭打ちになります。
MEOとSEOは、別々の会社に発注されることが多い施策です。しかし実際には、両者は3つの明確な接点で結びついており、連動させないと、それぞれの上限が下がります。ここでは、その接点と、医療機関における実務的な進め方を整理します。
名称・住所・電話番号の表記が、自院サイトとGoogleビジネスプロフィールで一致していることは、MEOにおける視認性の評価に寄与します。同時に、SEOの側でも、サイト上に正確な所在地情報が構造化データとして記述されていることは、その医療機関の実在と所在を検索エンジンに伝える材料になります。NAPの整備は、MEOとSEOの両方に同時に効く、数少ない施策です。
実務では、自院サイトのフッターと各拠点ページに正確なNAPを記載し、あわせてMedicalClinicやHospitalといった構造化データで所在地・電話番号・診療時間を記述します。この記述とGoogleビジネスプロフィールの内容を一致させておくことで、双方の情報が矛盾しない状態を作ります。
Googleビジネスプロフィールからリンクされている自院サイトの内容は、その医療機関がどのような診療を行っているかの判断材料になります。診療科目、対応する症状、実施している検査、設備、医師の経歴が明記されたサイトは、地図枠における関連性の評価にも寄与します。逆に、サイトが1ページだけで情報が乏しい医療機関は、プロフィールをいくら整えても、その先で判断材料が途切れます。
ここで重要なのは、症状別ページや治療別ページを作る作業が、SEOのためだけの投資ではないという点です。それらのページは自然検索からの流入を生むと同時に、地図枠から遷移してきた患者が「この症状を診てもらえるか」を確認する場所でもあります。MEOで見つけてもらい、サイトで確認され、来院に至るという一連の流れのうち、MEOは入口、SEOで作ったページは確認の場という役割分担です。
3つ目の接点は、医院名での検索(指名検索)です。地図枠で見つけた患者が、後日あらためて医院名で検索する。サイトの記事を読んだ人が、医院名で検索して所在地を確認する。こうした指名検索の増加は、視認性の評価に寄与すると同時に、自然検索側でも自院サイトが確実に上位表示される状態を作ります。
指名検索が増えたときに重要なのは、検索結果に表示される情報がすべて正確であることです。医院名で検索したとき、地図枠のプロフィール、自然検索の自院サイト、医療機関検索サイトの掲載情報が並びます。このうちどれか1つでも診療時間が古ければ、患者は間違った情報にたどり着きます。指名検索は最も来院に近い検索であるため、ここでの情報の不一致は、そのまま来院機会の損失になります。
着手の順序は、診療内容と商圏の性質によって決まります。判断の目安は次のとおりです。
いずれの場合も、片方だけを続けると成果は頭打ちになります。医療機関の自然検索対策の全体像についてはクリニック・病院のSEO対策のページで、キーワード設計から医療広告ガイドライン対応、効果が出るまでの期間までを詳しく解説していますので、本ページとあわせてご覧ください。
プロフィールの初期整備から重複の解消、投稿・返信運用、複数拠点の一括管理、SEOとの連携までを支援します。
MyChoiceは、マーケティング支援を行う会社として、医療機関のMEO・SEO・広告運用・サイト制作に取り組んできました。医療分野のMEO支援で最も重視しているのは、Googleのポリシーと医療広告ガイドラインの両方を守った範囲で、続けられる運用の型を作ることです。順位を短期的に動かす手法ではなく、情報の正確性と運用の継続性で成果を積み上げる設計を取っています。
Googleビジネスプロフィールの設定状況、情報の欠落、重複リスティングの有無、NAP表記の一致状況、商圏内での表示状況を確認し、優先して着手すべき項目をご報告します。初回のご相談時に無料で実施しています。
カテゴリの設計、診療時間・特別診療時間の登録、診療内容の洗い出しと登録、属性の設定、説明文の作成を行います。医療広告ガイドラインの禁止類型に触れる表現がないかを、公開前に確認する工程を設けています。
旧住所・院長名・診療科名などで発生している重複プロフィールを調査し、統合または削除の手続きを行います。オーナー権限が院外にある場合の移管手続きもご支援します。
掲載する写真の構成をご提案し、撮影のご支援も行います。休診案内、予防接種の開始、診療体制の変更といった投稿については、事実の告知にとどめる文案を作成し、院内でご確認いただいたうえで公開します。
守秘義務・個人情報・体験談の扱いを踏まえた返信方針とテンプレートを設計します。返信文案の作成をご支援し、院内でご承認いただいたうえで投稿するフローを取ります。クチコミの投稿依頼・代行は行いません。
拠点ごとのNAP一覧を作成し、医療機関検索サイトや各種ディレクトリの掲載情報を、正しい表記に整えていきます。自院サイト側の構造化データとの整合も含めて対応します。
商圏内の複数地点で地図枠の順位を測定し、面での表示状況を可視化します。順位だけでなく、プロフィールの表示回数、経路検索数、電話タップ数、サイトへの遷移数を含めて月次でご報告します。
分院を展開する医療法人向けに、全拠点の情報更新と投稿を一括で行える体制を整えます。拠点別のダッシュボードで、どの拠点の情報が古いかを把握できる状態にします。
拠点ページの設計、症状別・治療別ページの制作、構造化データの実装まで、自然検索側と一体で対応できます。医療機関のSEO対策と組み合わせたご支援も承ります。
MyChoiceは、MEOの運用負荷を下げるためのツール「MEO GEAR」を自社開発しています。Googleビジネスプロフィールの管理、複数チャネルへの一括投稿、AIによる投稿文案とクチコミ返信文案の生成、グリッド順位計測、月次レポートの自動生成といった機能を備えています。料金は月額10,000円(税別)からで、初期費用は0円、2週間の無料トライアルをご用意しています。詳細はMEO GEARのサービスページをご覧ください。
なお、AIが生成する返信文案は、あくまで下書きとしてご提供するものです。医療機関の場合、守秘義務や個人情報に関わる記述が含まれていないかを院内でご確認いただいたうえで投稿する運用を必ず取ってください。ツールは判断を代替するものではなく、判断に至るまでの作業時間を短縮するためのものです。
医療機関のMEO運用支援は、診療科、拠点数、ご対応いただく範囲、既存プロフィールの状態によって必要な工数が変わるため、個別のお見積もりとさせていただいています。MEO GEARについては月額10,000円(税別)からご利用いただけます。まず現状を把握いただくために、初回のご相談時に無料のMEO診断を実施しています。
MyChoiceでは、検索順位の保証、クチコミ件数の保証、集患数の保証は一切行っておりません。Googleの評価は継続的に変動するものであり、保証できる性質のものではないと考えているためです。代わりに、何をいつまでに実施し、どの指標で判断するかを明示したうえで進めます。これまでのご支援内容は導入事例のページで、MEO・SEOに関する解説記事はコラムでご紹介しています。